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妄想劇場2015

多分カノサガとその他サガ受けのことばかりです。 現在黄金魂視聴中
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黄金魂ハマってます

あんまり期待せずに見てみよう・・・そう予防線を張り見始めた黄金魂に、見事にハマって毎日のようにGYAO!かニコニコ動画でリプレイ三昧の私ですこんにちわ。

3話まで配信進んでますが・・まず私はもうムウ様が出てきた段階で完全に墜落しました。

なんて…なんて綺麗なのムウ様…!!!

多分黄金魂から星矢に入って来る若い子もいるだろうし、Ωとっかかりで入ってくる子もいると
思うんだけど、私がほんの子供の時に初めて見たムウ様が28年前(リアル過ぎて自分が引くわ)

まっっったく色あせないムウ様の美貌そして色気!!!!

子供の頃に夢中になったあのムウ様が私服で動いて喋っている。もうそれだけで満足でした。

色々考えるのはやめてこの奇跡を楽しもう。黄金聖闘士メインのアニメ化の夢想なんてそれこそ何回したか分からないけど本当に起こった!奇跡は起きる!!そうだね兄さんそうだね!

しかし本当に黄金聖闘士の顔のアップは作画気合入ってるよね…ムウとかカミュとかアップになるたびに美人でぐおおおおってなってます。無印アニメの作画は荒木先生を除けば青木さんの作画がめちゃ好きだった私はむしろムウ様は顔が美人で身体はむっちり肉感的なのが大好物だったりするのですが、黄金魂のアイキャッチのような線の細い細身のムウ様もまたこれはこれでよいものだ…!と思ったりしてます(可愛ければなんでもいい)

リフィアと並んでもムウ様の方が美人だったりするからね…恐るべきジャミール。色白で可愛いなぁ、ああムウ様すき・・・!!

ひととおりムウ様にハァハァした後は、本編を万遍なく楽しんでます。
アイオリアを主役にしたのはとても良かったと思います。
見た目も性格も、アイオリアは華があって素晴らしい。そして、割と腐女子の考えるアイオリア像と全くブレてないアイオリアの性格。一回死んでようが復活の理由が不明だろうが、聖闘士である自分の本分が揺るがない。正義感があって情がある。なんとなくだけど、リフィアが会ったのがアイオリアじゃなくて他の黄金聖闘士だったら、おそらく半分位はリフィアを相手にしないんじゃないかと思う。推測ですが。リフィア、アイオリアで良かったよね…。

男らしく優しい所もあるアイオリアに分かりやすく好意を感じ始めるリフィアに対して、その気配を全く汲み取ることのないアイオリア。なんというフラグクラッシャー…多分、アイオリアって自分が美形だって自覚がないんじゃないかな?聖域っていう狭い世界でしか生きてこなかったから、自分の容姿が年頃の女から見て魅力的に映るとか考えたこともなさそう。
まあ、周りにいたのがムウとかアフロディーテとかサガとか美形揃いだから美醜関係に不感症になっても仕方ないのかもしれない…w

まあ、でも、死んで全てが終わったと思った筈が訳分からず生き返ってしかもまた戦うはめになって、混乱している時に女にときめく余裕もまだないだけかもしれんな、うん。

しかしあれですね、黄金聖闘士ってイメージ的に黄金聖衣を纏って十二宮に鎮座してるイメージなので、聖衣箱背負って私服で町をウロウロ歩き回るシーンを見ると、歳相応の彼らも人間なんだなぁ、と思いますね。それだけ十二宮編の彼らが人間離れした存在だったというのもあるか。
あえて今回黄金聖闘士の飲食シーンも入れてるみたいですが、食べたり酒飲んだりしてるシーンをみると本当に動いて喋る同人誌見てるような気分になるなぁ・・・w
まだまだユグドラシルには辿り着かないだろうから、途中で他の黄金聖闘士の食べ飲みのシーンとか、寝てるシーンとかみたいです!

3話はサガが出てきた瞬間に全て記憶が吹っ飛んで画面のこっちがわで「ひゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!」
ってなってました。
多分そうなった人沢山いるだろう・・・!!

こんな序盤で出てくると思わなかったからぶっとびました。

サガはアスガルドのどこで復活してたのかな?アイオリアみたいに復活したあとにフラフラになって誰かに介抱されてたのかな?(ハァハァ←脳内妄想すごい)ミロとカミュの小宇宙が激突するのを感じて飛んできたのかな?とか色々考えて妄想とまらんです・・・シャカみたいに距離を置いて様子を見ようとか、(おそらく)本心を偽って敵内部に潜入してるカミュみたいなことしないで敵の主力部隊の真正面から突入してくるサガってけっこうミロに似てない?負ける心配全くしてないみたいな登場の仕方・・・流石ラスボスと言われたサガだけのことはあるわ・・・カッコイイ・・・そして美人・・・双子座聖衣のハイヒールが映った瞬間にサガアアアアアアアって鳥肌たったもんね・・・。

でもよく考えたら、今回の神闘士って前の神闘士がいたころは選ばれなかったいわば二軍神闘士みたいなもんじゃん・・・サガ達黄金聖闘士の相手じゃなくない?って思ったんですが、そこはユグドラシル万能説で冥界編の冥闘士位パワー補正入ってくるんでしょうね。
わー、でもサガ出てきた瞬間「勝った!!」って思ったので次回は全く心配しておりません。
カミュはまだ向こう側についていくんだろうし、一戦交えた後にサガはミロと行動を共にするんですかね…?
ムウ→単独班
リア・リフィア班→話のメイン班
デス・アフロ班→なんだかんだ言いつつ二人で行動しそう
童虎・アルデバラン班→童虎が寄り道しそう班
シャカ→誰か回収してあげて
アイオロス→?
シュラ→?

ムウが向かってるのってシャカの所なのかな・・?って思ったりもしたんですがどうなんでしょう。リフィアっていう戦闘に役に立たないお荷物連れでもアイオリアを一人にすることをためらわないムウってアイオリアを戦闘面では一人にしても全然大丈夫と思ってるんだろうな~(*´ω`)もえ!
アイオロスとシュラは一緒に出てきたらいいなって思ってるけどどうなるんだろ。
実際手をかけた加害者と被害者同士のロスシュラと、首謀者と被害者だったロスサガはどう描かれるのかなって期待してます。まあ嘆きの壁の時もその辺総スルーだったしなかったことになるのかどうか・・そっちの確立の方が高いようなきもする・・うん。

しかしあの・・・サガが生き返ったってことはカノンは・・・?期待しちゃダメなんですかね・・・?全国の100万人の双子クラスタがカノンは?って思ってると思うんですが。
まあ、生き返ってても聖衣はサガが持ってるし、スニオン服で慣れない雪国で行き倒れてるかもしれないカノンを想像するのも楽しいです…サガ、カノンのこと探してくれないかなぁ…w

そんな訳で絶賛黄金魂に心奪われてるので長々感想書いてみました!

ブログ連載も絶賛停止中ですが忘れた頃に更新されてるかもしれない・・

4話みたらまたレビューします~!

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AFTER DARK 続き

5 教皇の間 
アフロディーテの危惧も空しく、サガが望んだ教皇と女神への謁見はその日の夜に許された。茶に仕込まれた薬の効果で双魚宮を出ようとした時には足取りもやや覚束ない様子だったが、教皇宮で女神を待つ間、決して誰にも気取られることはなかった。
 女神より先に謁見の間に現れた教皇は、サガの纏った僧侶の法衣を見咎めた。およそ女神の謁見に相応しい支度ではない。葬儀時に下級神官が身に付ける質素なもので、彼の立場にしても似つかわしくないこと甚だしかった。
 「…仕事を選ばず休みも碌に取らず体調が悪そうだ、と苦情めいた陳情が私の所まで届いた。」
 一段低い場所に控えているサガに、今は教皇となったアイオロスが苦笑交じりで言葉を掛けた。
 「君に神官を務めて貰って葬儀をしてもらえるなんて贅沢なことだな。女神の一の使いである黄金聖闘士が神官などと聞いたことはないが。」
 努めて明るい調子で語るアイオロスに、控えたサガは沈黙したままだった。こうして面を付き合わせて会うことも最近は稀なことだった。聖域から出ない事を条件に、双子座への復位を拒んだ形のサガだったが当然女神の御前会議にも顔を出していない。自ら陽の当たる場所から遠ざけようとするように、教皇宮への出仕もしなくなった。下級の兵士や官吏のするような雑務への出仕を望んで、聖域の中心部から距離を置いてもう1年にもなる。
 「…口をきいてももらえないのかな。」
 寂しそうな響きがアイオロスの口から漏れるのに、サガが下げていた顔を上げた。見上げた先に、少し髪が伸びたアイオロスの蒼い眼と視線がぶつかった。
 「やっと俺の目を見てくれた。」
 かつて己が纏っていたものとは趣の違う、白と銀糸で誂えた教皇の法衣。権力の象徴とも言うべき教皇の纏うそれは、サガが身に付けていたものよりも簡素なものだったが、逞しい彼の身体に映えていた。
 「謁見の許可を頂き感謝しております、教皇アイオロス。」
 「…他人行儀極まりないな。やめてくれ、居心地が悪すぎる。」
 黄金位を返上すれば聖域内では唯人。掟ではたしかにその通りなのだが、慣例に倣おうとするサガの姿にアイオロスは眉を下げた。
 「最近はここにも寄り付いてくれなかった君が急ぎ話がある、と聞いて私は嬉しかったんだ。それがどんな用件であってもね。」
 本心からそう思う、というように綻ばせた表情は、しかしサガの表情をも緩ませたりはしなかった。
 「女神がおわしたら、話す。」
 「そうか、女神がまだだったな。今日の瞑想はいささか深くて…あの方はまだお若くていらっしゃる。瞑想が身体にかける負担も小さくはないのでな、少し休んでここにいらっしゃるそうだ。」
 本来であれば黄金聖闘士でもない聖域のいち住人が女神に目通りがかなうこと自体がありえないことなのだが、それが通るのが本人が固辞してもまだ周囲がサガを双子座の主と見ていることの何よりの証でもあった。
 女神に無理を強いたことに後悔の念が襲ったが、それでもそこを立ち去らなかったのは自分を突き動かすものに抗えないからだった。
 サガの沈黙で弾みようもない会話がすぐに途切れてしまうと、人気の絶えた夜の教皇宮には重たい静寂が降りて二人を包んだ。
 もう少し何か喋ろうか、そうアイオロスが逡巡しているうちに、奥の方から小さな足音が近づいて二人の前に現れた。サガだけでなく、教皇であるアイオロスも膝を折り頭を低く垂れ、彼らの女神を迎え入れた。
 「来て下さって嬉しいわ、サガ。私の所へ薔薇を届けてくれるアフロディーテによく近況を聞いてはいましたが、あたな自身はちっともここへ足を運んでは下さらないのだもの…。」
 凛とした声は威厳と気品に満ちてはいたが、まだ少女のそれは十分に黄金を離れたサガへの労りに満ちていた。神でありながら人である少女は、また人らしい感情を露わにして振る舞うことを厭わなかった。
 「我が女神、アテナ…。」
 顔を上げずに膝まづいたままのサガのために、女神は「顔をお上げなさい。」と命令をしなければならなかった。想像はしていたが、アフロディーテにサガの様子を聞いても度々口篭るのも納得するほどのやつれ具合に掛ける言葉を選ぼうとして、女神は口を噤むしかなかった。
 「御心配には及びません、女神よ…私はこうして何不自由なく生きております…今日ここへ参上したのは。」
 女神を前に先ほどとは違って自ら口を開いたサガは、二人が想像をしていなかった事を熱心に直訴してみせた。
 「…あなた自らその役割を買ってでようというのですか?」
 問いかけに頷いたサガに、女神はアイオロスを振り返った。
 「あなたが聖闘士を育てる…など、勿論反対する理由はありません。聖戦で主を喪った聖衣が数多くあるのも分かっています。でもなぜあなたが…?」
 聖戦後の聖域の復興のために、役割は数あれど沢山の人間が聖域に入って来る。その全てをいちいち女神や教皇が把握しているわけではない。雑兵あがりの聖闘士も多いのだ。だからサガが自ら聖闘士として育てるために誰か特定の人物を聖域に招き入れたい、と申し出るのは異例と言えた。サガが特定の誰かを弟子にしたことは、今まで一度もなかった。
 話を聞いていたアイオロスが、女神の視線の求めに応じてサガを問いただした。
 「今の話だと、誰か特定の者を聖闘士候補として迎え入れたいということだが…それはその者の意思なのか?訓練を何年も受けても聖闘士になれる保証はない。聖域に入るという意味を理解して?」
 当然と言えば当然の質問に、しかしサガは意外な質問をされたというように即答をしなかった。
 「君が是非にという程ならば、勿論私も興味はある。しかし、聖闘士の訓練は過酷だぞ、今更言うまでもないことだが…。」
 「…本人にはまだ承諾をとっていないが、彼は既に天涯孤独の身だ。私が説得をする。だから許可を頂きたい。」
 「随分答えを急くんだな…何か特別な理由があるのだろう?」
 アイオロスの疑問は当然で、かつ自然なものだった。
 女神は言葉を差し挟まず、ただ二人の成り行きを見守っていた。それまで無表情だったサガの瞳に、浮かされたような熱が宿るのに、アイオロスが心の裡で驚愕している事に彼女は気づいていた。
 「女神よ…私はこの聖域で既に役割を終えた人間だと思っておりました。」
 「サガ…。」
 「もし、私に聖域で生きる意味がまだあるのなら、それはあなたにお仕えする次代の聖闘士に聖衣を引き継ぐことです。」
 真摯に語るサガはそれまでとは別人のように弁舌で、しかしその内容は側で聞いていたアイオロスには
俄かには理解しがたいことだった。
 「双子座を承継したい、と言うのか、サガ。」
 アイオロスの問いかけに対する返事に代わりに、サガは見上げた女神の戸惑いを隠さない目を見つめた。女神はサガの真意を見定めようとするかのように無言で深い湖の様な眼を凝視した。
 「双子座は私から正式に弟へと承継されていた。弟が死んだ今、双子座は空位だ。次の世代へ引継ぐのが、私に残された責務だと思っている。」
 「何を馬鹿な…君は双子座の地位を放棄しようというのか。」
 「射手座も既に正式に承継されている。何も問題はない。」
 「それとこれとは…!」
 アイオロスが教皇に就任するに至り、射手座も正式に星矢へ承継されるに至っていた。こちらは誰の目にも星矢が次の射手座だろうと目されていただけに反対もなく、承継する側の当人が渋っていたが女神の意向もあって早々に決着した経緯があった。それと同じだと言うのである。
 「あなたの見つけた者が、双子座の星に選ばれた者だと、あなたは言うのですね?」
 サガの言葉を否定することなく問いかけた女神を、サガは眩しそうに仰いだ。
 「いずれ時が来た時に、聖衣自身がそれを決めましょう。そのための時間を頂きたいのです。」
 決意が固いことを示す様に、サガははっきりと言上した。
 「分かりました…とにかく、聖域へ入ることを許可しましょう。ただし、決して無理を強いることのないように…いいですね?」
 少しの溜息とともに、女神は許しを出した。女神が許す以上、ことは決定事項である。これでアイオロスが口を挟む余地はなくなった。
 「女神よ…。」
 「いいのです。ただし、サガ。私はまだそのものを双子座として迎え入れるとは言ってはおりません。あくまでも数ある聖闘士の候補生という形です。それでいいですね…?」
 「…感謝します、女神よ。」
 緊張が解けたのか、サガはどこかほっとしたような顔をみせた。立ち上がり、二人へ向けて一礼して退出しようとしたサガを引き留めたのは、女神の一言だった。
 「私はあなたの願いを聞きました。あなたも私の願いを聞いてくれますね?サガ…。」
 その後続いた言葉にサガは頷き、無言のまま教皇の間を退出した。
 
 

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お久しぶりでございます<(_ _)>

友達から「春から星矢の新作やるらしいけど知ってる?」とメールが来てすっとんできました。

マジだった・・・!


しかも無印黄金ネタ・・・?

び、びっくり過ぎる・・・!!!

カノンは出るんですかね・・・?出してえ、サガとの2ショット見せてえええ

春を楽しみにリハビリちょこっとずつしていけたらいいな~
というわけでモブサガちゃんをちょこちょこ書いていきます。

サイトはPC変えてから更新の仕方を忘れて絶賛放置中ですが、こことpixivに載せていきたいと思いますのでお暇な方は時々覗いていただけると嬉しいです。

モブサガという名のカノサガですー。

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AFTER DARK


 
 4 聖域へ
 
 酷く幸せで、そして酷くあさましい夢から醒めた。
 「…ノン…。」
 喘ぐように振り絞った己の声で目が覚めた。涙で頬が濡れ、一晩眠った後だというのに息が酷く上がっていた。見慣れた天蓋が目に入り、そこが己の宮の一室だということを思い出す。それでもまだサガは夢見心地だった。目ざめる直前まで、彼は生々しい熱と重みをその身に感じて弟の下でその身体を揺さぶられていた。口づけを求めては荒々しく口を塞がれ、待って欲しいという懇願は聞きいれられずに、己の分身の灼熱に何度も貫かれて身悶えていた。
 だからサガは目覚めた時に、隣に弟が寝ているのだと思い込んで思わず縋るように手を伸ばした。しかし、そこには誰も居らず、不必要に広い寝台の半分は冷たく冷えたままだった。
 もう何度見たか分からない夢と、そこからまっさかさまに落とされる現実に、サガは慣れることも出来ずに脱力した。夢だというのに、それはまるで現実のように生々しくリアルで本当に抱かれた後のようにサガは酷く汗を掻いていた。夢はいつも酷く幸せで、求められるままにサガは法衣を脱ぎ、弟の熱を求めて肌を合わせた。その熱を感じる時はこれは夢ではないと信じられる程に生々しく、合わせた身体からカノンの鼓動を感じるほどに何もかもが嘘ではないと感じられた。
 しかし、やはり夢は醒める。夢が幸せであるほどに醒めた時の落胆も大きく、サガは終わりなく見続ける己の夢の浅ましさに情けない思いで目が醒めると涙が零れた。
 下半身に濡れた感触を覚えて身体を起こすと、いつもその夢を見た時にだけ白濁が夜着を汚しているのだった。もう半刻もすれば双児宮仕えの者たちがサガの身支度を整えにやってくる。その前に、この酷い有様をどうにかしなければいけないことは明白で、サガは気だるい身体をどうにか起こして浴室へと向かった。目はやや腫れて、少し冷やしただけで治まるか疑わしかったが、起き抜けの身体には冷たいシャワーを態と出してサガはそれを浴びた。

 冷たい水の感触だけが、まだ半分夢心地の自分を現実に引き戻してくれる手段だった。浅ましく汚れた身体を洗い流して、何事もないようにまた一日が始まる。己に科した雑事で一日の殆どを忙殺されて、泥のように疲れて眠ることだけがサガの望みだった。何も考える暇がない程、己の全てを聖域のために使うことでしか立っていられない。弟が永遠に自分の側を離れた事実の前に、サガはそれ以外の在り方を出来ずにいた。
 一人にさせてほしい、というサガの望みを汲んで一時期は双児宮から全ての侍従が撤収を命じられたが、日に日にやつれ衰えていく姿のサガに女神の心労が嵩み、ついに本人の意向を覆して衣食住の最低限を世話する者が暗黙に配置された。宮の主は初めそれを拒んだが、「女神の意向なれば。」の一言にそれ以降彼らの存在を無言で認めたようだった。自分からは何も求めないが、用意される食事に少しだけでも口をつけるという報告に一番胸を撫で下ろしたのは、女神以下サガの身を案じた多くの聖域の住人の一致した意見であったに違いない。
 サガを包んでいた柔らかさは去り、張りつめたような神聖な空気と静謐さは、誰の眼にも増したように見えた。不必要な口を利かず人と交わらない。喪った主を求めて聖衣が呼んでも、サガは頑なにその求めに応えようとはしなかった。

 冷たい水滴に打たれ続ける事を意識よりも先に身体が本能で拒否したように傍らの壁に体を凭れて、サガは現実に意識を引き戻した。無意識に指がコックを捻って水を止めていた。
 時々、忘我してしまう自分にサガは気づいていた。短いのか長いのかそれさえも不確かで、その虚ろな時間に自分が何を考えていたのかさえ分からなくなる。以前の自分なら、意思の力でどうにでもなったそれが、コントロール出来なくなっている事実さえもはや危機すらないことを、サガはどこか他人事のように外側から見つめていることがあった。
 冷えた身体を用意されたタオルで拭き、用意された衣服へ着替え一日が始まる。そこにサガを癒す娯楽や時間はない。機械的に己を動かす作業があるだけだった。


 「ついたぞアルヘナ。起きろ。そして降りるんだ。」
 肩を揺すられて、アルヘナは重い瞼をゆっくりと上げた。辺りはまだうっすらと暗く、傍らにいる人の手には足元を照らすためのランプが握られていた。
 「ここから先は聖域だ。降りて自分の足で登らなければならない。いくぞ。」
 言われて、アルヘナは自分が故郷から丸一日馬車に揺られて遠い聖域にやってきたことを俄かに思い出し飛び起きた。見上げると、そこには絶世の美形が自分を覗き込んでいる。夢では、ない。
 「アフロディーテ…様。」
 「予定よりも早く着いたのでまだ暗いが…上に着くころには朝日も昇るだろう。人が起き出す前に私の宮まで行ければいい。しかし…悪いが君はこれを付けていてくれ。」
 アフロディーテに押し付けるように渡されたそれは、人の顔の形にはまるように作られた精巧な仮面だった。
 「…不服に思うのも無理はないが…理由はいずれ話そう。ただ、君がサガと会いたいと思っているのなら、今は私の言う事に従って欲しい。」
 もとより彼の言う事に逆らうつもりはなかったが、今ここで話せない訳を根堀り葉ほり聞ける雰囲気でもなかった。アルヘナは言われた通りに仮面を付けて馬車を降り立った。思っていたよりも前も見えるし息も苦しくないのが幸いだった。
 「あれがみえるか、お前が目指す十二宮だ。」
 アフロディーテがまっすぐ指し示した山の頂には、アルヘナには何も見えなかったが高く遠い場所だということだけは分かった。
 「正規のルートだと楽なのだがな、残念ながら巡回の雑兵の眼も掻い潜っていかねばならないのであえて険しい道を行く。ついてこい。」
 見た目の流麗さとは違い手短に説明したアフロディーテは、馬車の従者に目くばせしてその場を去らせると、「行くぞ。」との号令でさっさと歩きだしてしまう。荷物を抱えたアルヘナは、まだ暗闇に包まれた山の山頂を見上げて、あんな所まで登れるんだろうか…との不安を口に出せないまま、アフロディーテの後を追いかけるしかなかった。


 聖衣の修復士という特殊な任務を帯びる牡羊座のムウが、聖域に留まることはむしろ珍しい。チベットの奥に居を構えてそこを拠点とすることを好む彼が既に聖域に生活の場を移して1年が過ぎようとしている。聖域を構成する誰もが黄金聖闘士が己のあるべき宮に存在することを歓迎しているが、ムウがそこを離れないのは二つ上を守る双児宮の主であるサガに対して虚心ではいられないからだった。おそらく全ての黄金聖闘士がそうであるように、ムウは弟亡き後のサガに対して何をすべきか考え、己が無力であることを噛みしめるばかりだった。最初から、言葉の慰めが彼に対して意味を持たない事は理解していたが、弟の存在がこれほど彼に対して深刻な状況をもたらすこと自体が想像の範疇外であった。
 サガ自身が双児宮に留まりながらも双子座の聖闘士として正式に復帰しないことが、ムウにとっては己の存在意義を顧みずにはいられない一大事だった。
 女神が実際には聖域におわさない過去ならばいざしらず、今は常に女神は聖域の人である。牡羊座は十二宮の先陣として非常に重要な宮であり、過去の聖戦でも冥界の先鋒たちを一番最初に迎え撃ったのはムウ自身だった。聖戦が終わり、カノンがサガに代わって双児宮の主に正式に決まってからは、ムウはどこか肩の荷が下りた気分だったのだ。実際サガが双児宮の主だった時でさえ、ムウはそれほど自分のポジションについて楽観的であった。上には11人の黄金聖闘士が女神を守るためにそれぞれの宮を守護しており、信頼出来るアルデバランの先には黄金聖闘士最強ともいえる双子座の主がいる。絶対の安心感のようなものは確かにあり、ムウは修復士という己の特別な役割もあって、自宮を空ける事に躊躇しなかった。

 しかし、不幸なカノンの死をきっかけに双児宮の存在は非常に微妙なものになってしまった。弟の死の上に自らの復権を頑なに拒んだサガのために、ムウが修復した双子座の聖衣は今は教皇宮に納められている。今でもサガさえ望めばすぐに聖衣はサガの元へ返させるのだが、本人が拒む以上聖衣は行き場所を喪っている形だ。
 サガを悼む気持ちと、いつまでも立ち直る気配のないサガに対するジレンマとは拮抗して、ムウを聖域に留めさせていた。
 修復士が聖域にいることで、絶え間なく需要のある修復要請が舞い込んでムウの予定を埋めていた。
 もとから朝は早いムウが、白羊宮の外に不審な気配を感じ取ったのも無理はないことだった。立場上素通りもさせられない以上、ムウは早朝の不審者にたいして先制の声をかけた。
 「そこで何をしているのです。姿が見えなくてもいるのは分かりますよ、出てきたらどうです。」
 凛とした呼びかけに応じて顔を出したのは、まだ若々しい細い肢体の少年だった。雑兵であれ聖域の下働きであれば大体もれなく筋肉質の鍛えられた姿であるから、それが聖域外の人間であることは一瞥して分かった。意表をつかれたのは、その少年が聖域の女が被る様な仮面を付けて現れたからだった。
 「なんの真似です?迷い込んできたわけでもなさそうですが、ここがどこか分かっていますか。」
 自然問い詰める口調になったムウにあとずさりした人影に代わって現れたのは、よく見知った僚友の顔だった。
 「アフロディーテ…朝からなんの騒ぎですか。」
 「おはようムウ。ちょっと火急の用向きでね。訳は後で話すからとりあえずここを通して欲しい。」
 怪しい風体の子供を聖域に連れ込んだ理由を明かさずにここを通せと言うアフロディーテにいささか面をくらったが、真剣な様子に言葉を飲み込んだ。
 「…あなたに限って滅多なことはないと思いますが…それをどこに連れて行こうというのです?」
 「教皇、ひいては女神の御前に。」
 「…聞いていませんね。まさか事後承諾などと言うわけではありませんね?」
 聡いムウにそう指摘されて、アフロディーテは口篭ったがムウは追及の手を緩めなかった。矛先は仮面の少年へと向けられた。
 「そこの君。ここがどこか分かっているのなら、その仮面を外して顔を見せなさい。教皇や女神に謁見するというのならここで隠しても意味はないでしょう。とりなさい。」
 そう命令されて、アフロディーテの後ろに隠れるように控えていたアルヘナは仮面越しに縋るようにアフロディーテに眼をやった。別に自分の意思で隠しているわけではないが、アフロディーテの許可なしで外していいものとも思われなかったからだ。
 ムウはそれ以上口を開いて命令しなかったが、顔を見せない以上そこを通すつもりがないことは明白だった。アフロディーテも無言だったので仕方なく面をとろうとしたアルヘナを制するように、3人の向こう側から張りのある声がそれを制した。
 今は聖域の教皇となったアイオロスがそこに立っていた。
 
 

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After dark

3・聖域の使者

 たった一人の肉親だった母が死んで、あっという間に一週間が過ぎた。身寄りの無い俺の為に毎日誰か代わる代わる村の人たちが食べ物を差し入れてくれたり、様子を見に来てくれたりして母と二人でいた時よりも忙しい程だった。
 それでも、夜になると必ず一人になる。気を遣ってくれる村の人たちは、俺の家族になってくれるわけではなかった。家で夜一人になるとどうしても、孤独と不安に苛まれた。癖で、家の中にいたはずの母の姿を無意識に探してはもういないのだと確認する度に一人途方に暮れ泣く日々が続いた。
 村の長が、当面は生活の心配はしなくていいと言ってくれたが、遠からず決断をしなければいけないことは子供の俺でも分かっていた。もとより、上の学校に行く金などない。そうなると、この村を出て大きい町へ働きに出なければ生きては行けないだろう。当座の食糧を買う金さえ持てば、アテネまで出ればなんとかなるのではないかと俺は考えていた。幸運な事に、俺は14という歳にしてはそれとは見えない大人びた外見をしていた。多分、18、上手くすれば20位に見てくれるかもしれない。寝床と食糧を与えてくれる仕事があればなんとかなる、と子供の浅はかさな思いつきで俺は自分を励ましていた。
 この家を離れたくない気持ちは当然あった。物心ついてからずっと、母と俺はこの家で暮らしていたし、俺の全てが詰まっていた。でも、家の中で一人でいると母のことばかり思い出して女々しく泣く夜がずっと続くのかと思うと寂しさ以上の辛さが俺を苛んだ。生活を変えれば、大人になれるのかもしれない…
そんな風に思うのも、仕方のない事だったのかもしれない。
 村の人は早く学校に戻るように勧めてくれたが、なかなかそういう気分にもなれず俺は無為に一日を過ごしていた。 母が毎日やっていた家のことを一人で片づけるだけでも大変だったし、母を亡くしたばかりの俺に強く物を言わない大人が殆どなのをいいことに、体よくサボっていたのだった。
 毎日、母の墓に花を摘んで持って行った後に、森を抜けて見晴らしのいい丘に上がった。そこからは、村を出ていくための唯一つの道が遠くに続いているのが見えるのが好きで良く足を運んだ。
 (あの人も、この道を通ってここに来たんだ。)
 今でも思い出すと、夢のような光景だったと思う。サガと名乗った聖域の御使いは、彼自身が神様のように光り輝いていた。そして、村では見たこともない程に綺麗に整った顔をしていた。俺は自分の母が美人だと言われる度に心の中で自慢に思っていたが、母と彼は比べものにならない位に彼は綺麗な人間だったのだ。神様の使いというものはきっと皆そういうものなのだろう。顔形だけでなく、動作も声も、全てが洗練されて優美だった。後で聞いたが、彼は聖域の中でもとても地位の高い人なのだという。本当なら、こんな辺境の地に来るような人ではないと教えられて、ますます俺は不思議に思い、そして最初で最後一度きりの母の葬儀に聖域がそんな人を遣わしてくれたことに感謝した。
 (アテネに行ったら、もしかしたら会えるのかもしれない…)
 ぼんやりとそんな思いに囚われると、俺はアテネに出る不安よりも期待が湧き上がってきて仕方なかった。勿論、会えない確率の方が高いに違いないが、聖域はこの村よりもずっとアテネに近いのだという。だとすれば、聖域に行けば会えるのかもしれない。もう一度会って、母を天へ送ってくれた人にお礼が言いたかった。

 ぼんやりとそんな事を考えていたら、遠い道の向こうから何かがこの村へ向かって来るのが見えた。俺はそれがあの人が乗ってきた馬車じゃないかと思い目を凝らした。もしかしたら、あの人がもう一度来てくれたのじゃないかとあり得ない事を一瞬で考えると俺は自然に村に向かって駆け出していた。
 この機会を逃したらもう一生会うことは出来ないかもしれない。すれ違ってしまったら、そう思うと気が急いて、本当は帰り道にもう一度母の墓に寄ろうと思っていたのに一目散に墓地の前を駆け抜けていた。

 息が上がるほど走り続けて村へ戻ると、広場はもう人が沢山集まっていてちょっとした騒ぎになっていた。俺はそれで彼が来たのだと確信して、あの見忘れようもない優雅な金髪と長身を探した。しかし、止められた馬車の中はもぬけの殻で、俺は彼がどこに行ってしまったのか探そうと踵を返した。
 「おい、アル。お前に聖域からお客様が来たぞ。」
 そう声を掛けられて、走りだそうとした俺は慌てて足を止めて振り返った。
 「ど、どこにいるんだ?」
 「お前の家の方に向かって歩いて行った。」
 「すごい美形だった。女だろ、あれ?」
 「いや、あんなに背の高い女は…あれが男でも驚くけど。」
 何人かの幼馴染が俺を置き去りにして盛り上がっていたが、俺はそのやりとりでサガが戻ってきたと確信していた。もう奴らを置き去りにして、一目散に家に向かって走り出していた。

 その人は、俺の家の中で俺を待っていた。慌てて家の扉を開けた俺に背中を向けるようにして椅子に座っていたその人は、扉の開く音で振り返った。
 「…サガ、様、じゃない…?」
 間の抜けた声を呆然と呟いた俺を振り返った人は、サガとは違う明るいはちみつのような金髪だった。サガはもっと薄い色の金髪だったし、何よりも顔の造作が一目でそれと分かるくらいに違うのだった。それがサガでなかったことは十分俺を落胆させたが、それよりも突然現れたこの聖域の使者という人がサガとはまた違ったケタ違いの美形であることも再び俺を驚かせた。
 しかし椅子から立ち上がった人物は、俺以上に驚いた表情を凍り付かせて目を見開くようにして俺を見ていた。
 「何故…お前がここに…?いや、違う。君は、いったい…。」
 その人の声は明らかに動揺に震えていた。顔色を失うように青ざめたその人が後ろによろけて椅子に躓きそうになったのを見て、俺は咄嗟に支えようと走り寄って腕を伸ばした。
 何か信じられないものでも見たように俺を凝視した人が、喘ぐように「カノン…。」と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。しかし、聞いた所で全く聞き覚えのない名前であることも確かだった。俺の記憶の引き出しのどこにも、その名前が仕舞われている場所はなかった。
 「…俺は、カノンっていう名前じゃないけど。」
 誰かと間違えているのか。ようやくそこに思い至って、俺はサガではない聖域の使者にそう訊いてみた。
 「カノン…では、ない。」
 まだどこか疑うように声が迷うように揺れているその人をもう一度椅子に座らせて、俺はその傍らに膝を付いた。
 「カノンっていう人に、俺が似ている?」
 そう問うた俺の言葉に、その人はようやく自分が酷い勘違いをしたのだと理解してどっと脱力したのが分かった。
 「そうか、君の母上を、サガが弔ったのか…。」
 「はい、だから俺、サガ様がまた来てくれたんだと思って。ずっとお礼が言いたくて…そしたら。」
 家にいたのは全くの知らない人物だった。しかも、会った途端に誰か知らない人と自分を見間違えている。サガではないかと期待した分だけ、落胆も大きかった。自分でも想像以上に落ち込んで沈んでいると、聖域の使者は今度は落ち着きを取り戻した様子で立ち上がり、自らの非礼を詫びるために俺の手をとって頭を下げた。
 「母上を亡くされたばかりなのに突然こうして押しかけて騒がせて…本当に申し訳ない。非礼を心からお詫びする。私は聖域のアフロディーテ。君の母上を弔った双子座のサガの、私は関係者だ。」
 「双子座…?」
 そう言われてもピンと来ない俺は、オウムのように問い返してアフロディーテと名乗った人の顔をまじまじと見つめ直した。至近距離で目を合わせるには、正直その人は美人過ぎて目を見れない程だった。声で男だとは分かったが、顔の作りがサガとはまた違ったまるで女性的な美しさに縁どられていた。しかし彼の物腰はまるで紳士で、彼は丁寧に詫びると切ない表情を隠さずにまた俺の顔をじっと見つめた。
 「失礼なことを訊くが…君はいくつだ、名は?」
 サガにも同じようなことを訊かれたな、と思ったが、俺はアルヘナという名前であること、歳は14になったばかりであることを正直に伝えた。彼は聞いている間中厳しい表情を崩さなかったが、最後に子供の俺に丁寧に礼を尽くしてくれた。
 「正直に教えてくれて、感謝する。今回のことは、私の一存でしたことだが、君がサガにもう一度会いたいというなら私が取り計らおう。」
 「ほ、本当に…?俺、お礼が言いたくて…。」
 「サガは礼など必要とはしないだろうが、君が自分の口から伝えたいというならそう計らおう。多分…彼も君に会いたいと言うだろう。」
 その最後の言葉の意味は俺には全く分からなかったが、アフロディーテという人がくれた提案は俺にはかけがえのないチャンスに違いなかった。ダメ元でと思って、俺は言い募った。
 「サガ様に会いに行きたい。俺を、聖域に連れて行ってもらえませんか?」
 図々しいのを承知でそう言った俺を見て、一瞬アフロディーテの表情は迷うような色を見せたが、彼は頷いて手を伸ばした。
 「いいだろう、私が君の聖域入りを特別に許可する。私と一緒に来るか、アルヘナ。」
 断る理由は何もなかった。俺は後先も考えずに頷くと、彼の気が変わらない内にと小さなかばんに質素な旅支度を詰め込んで家を後にした。その時、この先この家に戻ることがもうないとは思いもせずに、ただあの光り輝く人にもう一度会いたい、という思いだけで、俺はアフロディーテが乗ってきた馬車に乗り込んで村を後にした。
 次第に遠くなっていく村の灯りを見つめながら、俺はただじっと馬車の中で身動きもせずにいた。アフロディーテはあれやこれやと俺に話しかけようとはしなかったが、時々俺をじっと見ては何か物憂げに視線を逸らした。俺は居たたまれなくなって、とうとう自分から彼に話しかけた。
 「あの…聞いてもいいですか。」
 「なんだろうか。」
 「サガ様も、あなたも、どうして光っているんですか?聖域の人はみんな、そうなんですか。」
 俺の問いに驚いたようにアフロディーテは眉間に皺を寄せた。
 「光っている…?」
 「…?ええ。身体の周りがこう、うっすら光を纏ってるみたいにキラキラして。俺、サガ様を見た時に本当の神様の使いが来たって思ったのは、彼自身が光って見えたから。」
 疑わしげな表情を崩さずに聞いていたアフロディーテは、驚いたように目を見開いた。どんな表情でも美しく見えるから聖域の人は凄い、と俺は彼の度を越した美形にまじまじと見入りながら答えた。
 「私も、そう見えるのか。」
 「…サガ様とは少し感じの違う光だけれど、見える。」
 「君は…小宇宙に目覚めているのか…?」
 「コスモ…?」
 彼の口から発せられる全てにクエスチョンマークを乗せる俺に、聞いても詮無いと思ったのかアフロディーテは「いや、いい。聖域に着くのは朝だ、休むといい。」と言い置いてもう俺に話しかけようとはしなかった。
 目が冴えている間中、俺は馬車の窓から見える星空を眺めていた。黄道十二星座のいくつかも、天に見えた。おとぎ話に聞かされた聖域と女神の物語には必ず十二星座の神様の使いがいて、鎧を着て女神様のために戦うのだと聞かされていた。俺の星座は双子座だったから、空を見上げた時に双子座がどこにあるかは分かっていた。アフロディーテが教えてくれた、サガは双子座なのだという。そんな共通点があったことが嬉しくて、俺はサガに会えたら俺が双子座なのだということを教えたい、と思った。
 馬車が規則的なリズムで揺られていくのに、俺はいつの間にか眠っていたらしい。サガの夢を見ていた。あの美しい人は、俺を見つけるとまるで俺の母と同じような優しい表情で「おかえり。」と微笑んだ。夢なのに俺はちょっとおかしい、と夢の中でこれが夢だということを理解した。サガはたった一度あっただけの他人で、家族ではない。「おかえり。」というのはおかしい話だ。だがサガはまるで昔からずっと知っていたかのように俺に向かって歩いてくると、俺を「カノン。」と呼んだ。
 カノンという人を俺は知らない。俺はカノンではないのに、サガは俺を忘れてしまったかのように夢の中で俺を「カノン」と呼び続けた。
 カノンは一体誰なのだろう。夢なのに、俺はそれをどうしても知りたくなった。夢は醒めようとしてもなかなか自分の意思で醒めることは出来ない。夢から醒めたら、カノンが誰なのか訊いてみよう。そう思いながら、俺は夢の中でサガの隣に寝そべって空を見上げていた。何故かそれが酷く懐かしいことのような気がして、俺がサガを見ると、サガは俺を見てまた「カノン。」と呼んだ。それが酷く切なく響いて否定できずにいると、サガは「これが夢なら、醒めないでいてくれ。」と呟いた。どうしてそんな悲しい目で俺を見るの、そう言いたかったが声にはならず、俺は慰めようと彼に手を伸ばした。
 夢が覚めるまで、俺はサガを夢の中で抱きしめていた。

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